就職役立ち情報箱

在職中の転職活動は、収入や職歴のブランクを気にせず進められるメリットがある一方、時間的な制約といったデメリットも存在します。
現在の仕事を続けながら新しいキャリアを目指すには、効率的に活動を進めるための準備と計画が欠かせません。

この記事では、在職中に転職活動を始める前の準備から、面接対策、円満退職までの具体的な流れと成功させるためのコツを解説します。

退職は待った！働きながら転職活動をする3つのメリット

仕事を辞めてから転職活動を始める選択肢もありますが、在職中に活動することには大きなメリットがあります。
退職後の活動は収入が途絶えるため、焦りが生じやすく、納得のいく企業選びが難しくなる可能性があります。

働きながらであれば、経済的な安定を確保し、キャリアに空白期間を作ることなく、現職と比較しながらじっくりと次の職場を見極めることが可能です。

収入の心配をせずに転職活動に集中できる

在職中の転職活動における最大の利点は、毎月の収入が確保されていることです。
転職活動は、応募から内定まで数ヶ月かかることも珍しくなく、もし退職後に活動を始めると、その間の生活費や活動費用が大きな負担となり得ます。

経済的な不安は精神的な焦りを生み、妥協して転職先を決めてしまう原因にもなりかねません。
収入が安定していれば、金銭的なストレスを感じることなく、長期的な視点で自分のキャリアプランに合った企業を吟味できます。

職歴に空白期間（ブランク）が生まれない

仕事を続けながら転職活動を行えば、職歴に空白期間、いわゆるブランクが生じません。
採用担当者によっては、離職期間が長いと「計画性がない」「就業意欲が低いのではないか」といった懸念を抱く場合があります。
ブランクがあると、その理由について面接で説明を求められることも多いでしょう。

在職中であれば、業務経験が途切れることなく継続しているため、スキルや経験の連続性をアピールしやすく、選考において不利になる要素を一つ減らすことができます。

現職と比較しながら納得のいく企業を選べる

現職という明確な比較対象があるため、次の職場に求める条件を具体的に検討できる点もメリットです。
現在の仕事のやりがい、労働環境、給与水準などを基準に、応募先企業が本当に自分に合っているのかを冷静に判断できます。

退職後のように「早く決めなければ」という焦りがないため、複数の企業をじっくり比較検討する余裕が生まれます。
前職の経験を踏まえて、より良い条件やキャリアアップが実現できる企業を慎重に選べるため、転職後のミスマッチを防ぎやすくなります。

在職中の転職活動で注意すべき2つのデメリット

多くのメリットがある一方で、在職中の転職活動には特有の難しさも存在します。
現在の仕事と並行して進めるため、時間的な制約が大きく、スケジュール調整が大変になることは避けられません。

企業によっては平日の日中しか面接を行わない場合もあり、応募者にとって不利に働く場面も考えられます。
これらのデメリットをあらかじめ理解し、対策を立てておくことが、活動をスムーズに進める上で重要です。

仕事との両立で時間的な制約が大きい

在職中の転職活動は、平日の業務時間外や休日など、限られた時間で行う必要があります。
そのため、企業研究や自己分析、応募書類の作成といった準備に十分な時間を確保することが難しい場合があります。

特に、複数の企業へ同時に応募する場合、各社との連絡や面接準備に追われ、体力面でも精神面でも負担が大きくなりがちです。
思うように活動が進まず、転職期間が想定より長引いてしまう可能性も考慮しなければなりません。
効率的に時間を使う工夫ができないと、活動自体が停滞する恐れもあります。

急な面接日程に対応しづらい場合がある

企業側から面接日として平日の日中を指定されるケースは少なくありません。
在職中の場合、急な面接日程の提示に対して、現職の業務を調整して時間を確保するのは容易ではないでしょう。

有給休暇を取得するにも、繁忙期であったり、同僚への業務の引き継ぎが必要であったりと、すぐには休めない状況も考えられます。
面接日程の調整がつかないことが続くと、選考の機会を逃してしまうことにもなりかねません。
柔軟な対応が難しい点は、在職中の転職活動における大きな課題の一つです。

失敗しないために！転職活動を始める前の準備ステップ

在職中の限られた時間で転職活動を成功させるには、本格的に動き出す前の準備が極めて重要です。
いつから活動を始めるかを決めたら、まずは自己分析から着手し、キャリアの棚卸しや転職の軸を明確にする必要があります。

この初期段階の準備を丁寧に行うことで、その後の企業選びや選考対策といった一連の流れがスムーズに進み、転職後のミスマッチを防ぐことにつながります。

これまでのキャリアを振り返り強みを整理する

転職活動の第一歩は、これまでの業務経験や実績を具体的に振り返り、自身の強みを言語化することです。
どのような業務で成果を上げたか、どのようなスキルを習得したかを詳細に書き出してみましょう。
この自己分析を通じて、自分の得意分野や仕事における価値観が明確になります。

整理した強みは、職務経歴書の自己PR欄や面接でのアピールに直結し、説得力のある志望動機を構築するための土台となります。
客観的に自分のキャリアを見つめ直すことが、効果的なアピールには不可欠です。

転職で実現したいことの優先順位を決める

次に、今回の転職で何を最も重視するのか、条件の優先順位を明確にします。
「転職の軸」を定めることで、数多くの求人情報の中から自分に合った企業を効率的に見つけ出せます。
例えば、年収アップ、専門スキルの習得、ワークライフバランスの改善、新しい分野への挑戦など、転職理由は人それぞれです。

これらの希望条件の中で、絶対に譲れないものは何か、ある程度妥協できるものは何かを整理しておくことで、企業選びの際に迷いがなくなり、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

応募に必要な履歴書・職務経歴書を作成しておく

本格的に求人を探し始める前に、応募の際に必須となる履歴書と職務経歴書の下地を作成しておくと、その後の活動が格段にスムーズになります。
特に職務経歴書は、これまでの業務内容や実績をまとめる作業であり、キャリアの棚卸しにも役立ちます。

一度基本となるフォーマットを作成しておけば、応募する企業に合わせて内容を微調整するだけで済むため、魅力的な求人を見つけた際に迅速に行動を起こせます。
時間に余裕のある段階で準備を進めておくことが、チャンスを逃さないためのポイントです。

仕事と両立！在職中の転職活動を効率的に進めるコツ

限られた時間の中で成果を出すためには、効率を意識した動き方が求められます。
新卒の就職活動やパート探しとは異なり、即戦力が期待される社会人の転職では、専門的なサポートを活用することが成功の鍵です。

転職エージェントや転職サイト・アプリといったサービスをうまく利用し、スキマ時間を有効活用することで、仕事と転職活動の両立も可能になります。
ハローワークも在職中に利用できますが、より効率を求めるなら他のサービスの併用が賢明です。

転職エージェントに相談して求人紹介や日程調整を任せる

転職エージェントは、在職中の多忙な求職者にとって心強いパートナーです。
キャリア相談を通じて適性に合った非公開求人を紹介してくれるだけでなく、応募書類の添削や模擬面接といった選考対策もサポートしてくれます。

特に、手間のかかる応募企業との面接日程の調整を代行してくれる点は大きなメリットです。
給与などの条件交渉も任せられるため、個人で活動するよりも有利な条件で転職できる可能性も高まります。
専門家のサポートを受けることで、効率的かつ戦略的に活動を進められます。

スキマ時間を活用できる転職サイトやアプリに登録する

転職サイトやスマートフォンアプリは、通勤時間や昼休みといったスキマ時間を活用して転職活動を進めるのに最適なツールです。
多くのサイトでは、希望条件を登録しておくと新着求人をメールで通知してくれたり、企業から直接スカウトが届いたりする機能があります。
スマートフォン一つで求人情報の検索から応募まで完結できるため、場所を選ばずに活動できます。

複数のサイトに登録し、それぞれの特徴を活かしながら情報収集を行うのが、効率的な進め方の一つです。

オンライン面接に対応している企業を中心に応募する

近年、一次面接などを中心にオンラインで実施する企業が増加しています。
オンライン面接であれば、会社を休む必要がなく、移動時間もかからないため、在職中の応募者にとって大きなメリットがあります。
業務終了後や昼休みなどの時間を使って面接を受けられる可能性もあり、スケジュール調整の負担が大幅に軽減されます。

応募先の企業を選ぶ際に、オンライン面接に柔軟に対応しているかどうかを一つの基準にすることで、より多くの選考機会を確保しやすくなり、効率的に活動を進めることが可能です。

【面接対策】在職中の転職活動でよく聞かれる質問と回答例

在職中の転職活動における面接では、応募者の状況を踏まえた特有の質問をされることが多くあります。
特に、転職理由や入社可能時期については、ほぼ間違いなく尋ねられるため、事前の準備が不可欠です。

面接官が納得できるような、的確で説得力のある回答を用意しておくことが、選考を突破するための重要なポイントになります。
現在の仕事に関する質問にも、分かりやすく答えられるように整理しておきましょう。

面接官が納得するポジティブな転職理由の伝え方

転職理由は、面接で最も重視される質問の一つです。
現職への不平不満をそのまま伝えるのは避け、キャリアアップやスキル向上といった前向きな動機に転換して話す必要があります。
例えば、「評価制度に不満がある」のではなく、「成果が正当に評価される環境で、より高い目標に挑戦したい」といった表現に言い換えます。

嘘をつくのではなく、事実を基にしながら、応募先企業で実現したいことと結びつけて説明することが重要です。
将来への意欲を示すことで、採用担当者にポジティブな印象を与えられます。

「いつから入社できますか？」への適切な回答方法

入社可能時期に関する質問には、具体的な日付を提示できるよう準備しておくことが重要です。
まずは現職の就業規則を確認し、退職の意思を伝えてから実際に退職するまでに必要な期間（通常1～2ヶ月程度）を把握しましょう。
その上で、「退職交渉と引き継ぎ期間を考慮し、内定をいただいてから2ヶ月後には入社可能です」などと具体的に答えます。

入社日を明確に伝えることで、企業側も採用計画を立てやすくなります。
もし、入社時期の調整が可能であれば、その旨も併せて伝えると、柔軟な姿勢を示すことができます。

現在の仕事内容について具体的に説明する準備

面接では、現在の仕事内容について深掘りされることが多いため、自身の役割や実績を具体的かつ簡潔に説明できるよう準備しておきましょう。

所属部署、担当業務、役職といった基本情報に加え、どのような課題に対して、どういったアプローチで取り組み、どのような成果を出したのかを、具体的な数字を交えて話せると説得力が増します。
専門用語は避け、業界や職種が異なる面接官にも理解できるよう、分かりやすい言葉で説明する練習をしておくことが大切です。

周囲にバレずに転職活動を秘密裏に進めるための注意点

在職中の転職活動は、周囲に知られてしまうと現職での立場が気まずくなったり、引き止めに合ったりする可能性があるため、慎重に進めるのが基本です。
会社にバレるリスクを最小限に抑えるためには、行動の一つひとつに注意を払う必要があります。

特に、会社の備品の使用や同僚とのコミュニケーション、有給休暇の取り方など、日常業務の中で意識すべきポイントがいくつか存在します。

会社のパソコンやスマートフォンで転職サイトを見ない

会社のパソコンや社用スマートフォン、社内Wi-Fiを使用して転職サイトを閲覧したり、応募企業とメールのやり取りをしたりする行為は避けるべきです。
企業によっては、業務用機器の通信ログや閲覧履歴を監視している場合があります。
就業時間中の私的利用は職務専念義務違反にあたり、発覚した場合は懲戒処分の対象となる可能性も否定できません。

転職活動に関する全ての作業は、個人のパソコンやスマートフォンを使用し、会社のネットワーク外で行うことが鉄則です。
違法行為にはならなくとも、服務規律違反として禁止されているのが一般的です。

同僚や上司に転職活動の相談をしない

どれだけ信頼している同僚や上司であっても、転職活動について相談することは控えるのが賢明です。
善意からであっても、話が意図せず他の人に伝わってしまう可能性はゼロではありません。
情報が漏れると、社内で不要な憶測を呼んだり、引き止めに合って退職しづらくなったりする状況を招きかねません。

また、万が一、取引先など社外の関係者の耳に入ってしまうと、会社の信用問題に発展するリスクも考えられます。
転職の意思は、内定を得て退職を決意するまで、誰にも明かさないのが原則です。

面接のための有給休暇の取り方を工夫する

平日の面接のために有給休暇を取得する際は、その理由を正直に「転職の面接のため」と伝える必要はありません。
労働基準法で有給休暇の取得理由を会社に申告する義務はなく、「私用のため」という理由で十分です。
ただし、特定の時期に不自然な形で休みが重なると、周囲に勘繰られる可能性もあります。

そうした事態を避けるため、半日休暇を活用して午後に面接を入れたり、「通院」や「役所の手続き」など、具体的ながら当たり障りのない理由を伝えたりするなどの工夫が有効です。

もし転職活動が知られた場合の対処法

細心の注意を払っていても、何らかのきっかけで転職活動が会社にバレる可能性はあります。
もし上司などから問い詰められた場合は、慌てずに冷静に対応することが重要です。
下手に嘘をついたりごまかしたりせず、転職を検討している事実を認めた上で、現在の業務に支障をきたさないように努めている姿勢を誠実に伝えましょう。

その際、転職の意思が固いことを明確に示すことで、強い引き止めを回避しやすくなります。
事前に、なぜ転職したいのかという理由を論理的に説明できるよう準備しておくと、スムーズな対話につながります。

内定獲得後から円満退職までのスムーズな進め方

内定を獲得した後は、現在の職場を円満に退職するための手続きが始まります。
転職活動は、次の会社に入社するまで終わりではありません。
お世話になった会社や同僚に迷惑をかけないよう、社会人としてのマナーを守り、スムーズに引き継ぎを行うことが重要です。

退職の意思を伝えるタイミングや手順を間違えると、トラブルに発展しかねないため、計画的に進める必要があります。

退職の意思を伝える最適なタイミングと相手

退職の意思は、まず直属の上司に直接、口頭で伝えるのが社会人としてのマナーです。
同僚や他部署の上司に先に話すのは避けましょう。
伝えるタイミングとしては、就業規則の規定を確認した上で、退職希望日の1〜2ヶ月前が一般的です。

会社の繁忙期を避け、上司が比較的落ち着いている時間帯を見計らって、「ご相談したいことがあります」とアポイントを取り、会議室など他の人に聞かれない場所で話すのが望ましい進め方です。
正式な退職願は、上司と相談して退職日が確定した後に提出します。

就業規則で定められた退職手続きを確認する

退職を決意したら、まず自社の就業規則を確認することが不可欠です。
民法上は退職の申し出から2週間で雇用契約を終了できますが、多くの企業では「退職希望日の1ヶ月前までに申し出ること」など、独自のルールを定めています。

円満退職を目指す上では、この就業規則に従うのが基本です。
引き継ぎに必要な期間も考慮し、規定されている期日を守って退職の意思を伝えましょう。
退職日から逆算してスケジュールを立て、計画的に手続きを進めることで、会社との無用なトラブルを避けられます。

強い引き止めに合わないための退職理由の伝え方

退職理由を伝える際は、会社への不満や人間関係の問題を挙げるのではなく、あくまで個人的で前向きな理由を述べることが重要です。
「新しい分野で自分のスキルを試したい」「キャリアプランを実現するために、他社で挑戦したい」といった伝え方をすれば、会社側も納得しやすくなります。

もし給与や待遇面の改善を条件に引き止められても、安易に応じず、転職の意思が固いことを毅然とした態度で示しましょう。
一度決めた退職日を動かさないという強い意志を持つことが、スムーズな退職交渉につながります。

後任者への丁寧な業務引継ぎプランを作成する

円満退職のためには、後任者への丁寧な業務引き継ぎが不可欠です。
最終的な退職日が決まったら、そこから逆算して詳細な引き継ぎスケジュールを作成しましょう。
自分が担当していた業務内容、作業手順、関連資料の保管場所、関係各所の連絡先リストなどを文書にまとめ、誰が見ても分かるように整理しておくことが重要です。

後任者が決まったら、口頭での説明と並行してOJTを行い、質問にも丁寧に対応する姿勢が求められます。
自分が去った後も業務が滞りなく進むよう配慮することが、会社に対する最後の誠意となります。

まとめ

在職中の転職活動は、経済的な安定やキャリアの継続といったメリットがある反面、時間的な制約やスケジュール調整の難しさという課題も伴います。
この活動を成功させるためには、事前の自己分析や書類準備を徹底し、転職エージェントや転職サイトを駆使して効率的に進めることが肝心です。

面接対策や周囲に知られないための配慮も欠かせません。
内定獲得後は、社会人としてのマナーを守り、計画的な退職手続きと丁寧な引き継ぎを行うことで、円満な形で次のステップへと進むことができます。