自己都合退職と会社都合の違い 失業保険を解説【2025年】
自己都合退職を検討する際、多くの方が会社都合退職との違いや、失業保険の受給で損をしないための手続きに関心を持っています。
特に2025年4月からの法改正により、自己都合退職を選んだ場合の失業保険のルールにも変更があるため、最新情報の把握は不可欠です。
また、自己都合退職と会社都合退職では給付開始時期や受給条件が異なり、事前に違いを理解しておくことが重要です。
こうした変更点を踏まえ、自己都合退職後に適切な手続きを進めることで、退職後の経済的な不安を軽減できます。
本記事では、自己都合退職の定義から、失業保険の具体的な違い、2025年の法改正内容、円満に退職するための流れまでを解説します。
自己都合退職とは?会社都合退職との決定的な違いを解説
自己都合退職とは、労働者本人の意思や個人的な理由によって雇用契約を終了し、会社を辞める退職方法です。転職やキャリアアップ、健康上の事情、病気、妊娠、家庭の事情などが主な理由として挙げられます。
一方、会社都合退職は、会社の倒産や事業縮小、リストラ、退職勧奨、解雇、契約更新の打ち切りなど、企業側の事情によって労働契約が終了する場合を指します。また、セクハラやパワハラ、長時間労働、通勤困難などの正当な理由が認められた場合には、自己都合退職であっても会社都合退職に近い扱いとなるケースがあります。
この二つの違いは、退職の原因が本人側にあるか、会社側にあるかという点です。会社都合退職のほうが失業保険(失業手当)の受給条件で有利になることが多く、給付開始までの期間や支給日数、お金を受け取れるタイミングに差が生じる場合があります。
ハローワークでは、離職票や離職理由の内容をもとに退職事由を判断し、失業保険の受給資格や給付条件を認定します。そのため、自己都合退職と会社都合退職のどちらに分類されるかは、退職後の生活や転職活動、失業手当の受給額・受給期間に大きく影響する重要なポイントです。
自己都合退職に分類される一般的な退職理由
自己都合退職に分類される理由は多岐にわたりますが、その多くは労働者本人の事情によるものです。代表的な理由として、キャリアアップを目的とした転職や、より良い条件の企業への就職、別業界への挑戦などが挙げられます。また、結婚や配偶者の転勤に伴う引っ越し、学業への専念、家族の介護、独立開業なども自己都合退職に該当します。
さらに、健康上の問題や病気、職場環境とのミスマッチ、人間関係の悩みなどを理由に仕事を辞めるケースも少なくありません。ただし、病気や通勤困難、妊娠・出産、家族の介護など一定の正当な理由がある場合は、失業保険の受給条件において通常の自己都合退職とは異なる扱いを受けられる可能性があります。
自己都合退職は本人の意思による離職と判断されるため、会社都合退職と比較すると失業手当の給付開始時期や受給条件に違いが生じる場合があります。そのため、退職前に制度や手続きを確認し、ハローワークで必要な手続きを進めることが重要です。
なお、これらの具体的な退職理由を会社へ詳細に説明する必要はなく、退職届には一般的に「一身上の都合により」と記載します。退職理由の詳細は個人のプライバシーに関わるため、必要以上に伝える必要はありません。
会社都合退職として扱われる具体的なケース
会社都合退職とは、労働者本人の意思とは関係なく、会社や事業主側の事情によって雇用契約が終了する退職を指します。代表的な例として、会社の倒産、事業所の閉鎖、事業縮小、人員整理(リストラ)などが挙げられます。また、労働者に重大な問題がないにもかかわらず解雇された場合や、会社からの退職勧奨を受けて離職した場合も、会社都合退職として扱われるケースが一般的です。
さらに、希望退職制度や早期退職制度への応募、有期雇用契約の更新を希望していたにもかかわらず契約満了により雇止めとなった場合なども、状況によっては会社都合退職として認定されることがあります。派遣社員についても、派遣先での契約終了後に新たな勤務先を紹介されない場合は、会社都合退職に該当する可能性があります。
会社都合退職は、自己都合退職と比較して失業保険(失業手当)の受給条件が有利になることが多く、給付制限がない、受給開始が早い、支給日数が長いといったメリットがあります。そのため、離職理由の判断は退職後のお金や生活設計、転職活動に大きく影響します。
ただし、従業員による横領や重大な規則違反、長期の無断欠勤など、本人に責任がある懲戒解雇の場合は会社都合退職ではなく、自己都合退職と同様の扱いとなる場合があります。最終的な離職理由は離職票の内容をもとにハローワークが認定するため、退職時には理由や手続きの内容を十分に確認しておくことが重要です。
【比較表】自己都合と会社都合で失業保険や退職金はこう変わる
自己都合で退職するか、会社都合で退職するかによって、退職後の生活に直接影響するお金の面で大きな違いが生じます。 特に失業保険(失業給付)の受給資格、受給開始日、給付日数、そして退職金の額には明確な差があり、一般的に自己都合退職の方が労働者にとって不利益となる条件が設定されています。 これらのメリット・デメリットを正しく理解し、自身の状況と照らし合わせることが、退職後の生活を安定させる上で重要です。
失業保険の受給開始日|会社都合なら給付制限なしで早くもらえる
失業保険の給付日数と総額|会社都合の方が手厚く保障される
失業保険(基本手当・失業手当)の受給期間や給付日数も、自己都合退職と会社都合退職では大きな違いがあります。失業保険の給付日数は、雇用保険の被保険者期間や年齢、離職理由などの条件によって決定されますが、一般的に会社都合退職のほうが手厚い保障を受けられる仕組みとなっています。
自己都合退職の場合、基本手当の所定給付日数は雇用保険の加入期間に応じて90日から150日の範囲で設定されています。一方、会社都合退職に該当する特定受給資格者の場合は、年齢や被保険者期間に応じて90日から最大330日まで失業保険を受給できる可能性があります。
例えば、雇用保険の被保険者期間が10年以上20年未満の正社員の場合、自己都合退職では給付日数が120日となるケースが一般的です。しかし、会社都合退職として認定され、45歳以上60歳未満の条件を満たしている場合には、最大330日の給付を受けられる可能性があります。そのため、受給期間の違いによって受け取れる失業手当の総額にも大きな差が生じます。
また、倒産や解雇、退職勧奨などによる会社都合退職は、再就職までの生活を支援する目的から給付日数が優遇されています。一方で、自己都合退職であっても病気や妊娠、介護、通勤困難など正当な理由が認定された場合は、通常の自己都合退職とは異なる扱いを受けられる場合があります。
失業保険の給付日数は退職後の生活資金や転職活動の期間に大きく影響するため、離職票の内容や離職理由の認定結果を確認し、必要に応じてハローワークへ相談することが重要です。
退職金の支給額|自己都合だと減額される可能性も
退職金の支給額は、法律で定められているわけではなく、各企業の退職金規程によって決まります。
多くの企業では、会社都合退職の場合よりも自己都合退職の場合の支給率を低く設定しています。
これを「自己都合係数」と呼び、例えば会社都合の支給率を100%とすると、自己都合の場合は50%〜80%程度に減額されることが一般的です。
勤続年数が長くても、退職理由一つで受け取れる金額が大きく変わる可能性があるため、退職を検討する際は、事前に自社の就業規則や退職金規程を確認することが重要です。
【2025年4月〜】自己都合退職の失業保険ルール改正!給付制限が1ヶ月に短縮
これまで自己都合で退職した場合、失業保険の給付制限は原則2ヶ月でしたが、労働市場の流動性を高める目的から法律が変更され、2025年4月1日以降に離職する人から、この期間が原則1ヶ月に短縮されます。
この法改正は、転職や再就職を目指す人にとって、経済的な空白期間が短くなるという大きなメリットがあります。
これにより、自己都合退職のハードルが下がり、より柔軟なキャリアチェンジが可能になることが期待されています。
法改正によって給付制限が「原則1ヶ月」になる人の条件
2025年4月からの法改正により、失業保険の給付制限が1ヶ月に短縮される対象者は、自己都合で離職した人のうち、特定の除外要件に該当しない限り、原則として全ての人が対象となります。
つまり、自身のキャリアアップや生活環境の変化などを理由に退職する一般的な自己都合離職者であれば、特別な申請や要件を満たす必要なく、自動的に給付制限期間が1ヶ月に短縮されることになります。
この変更は、多くの退職者にとって有利な条件となります。
注意!法改正後も給付制限が2ヶ月のままになるケースとは
2025年4月からの法改正後も、全ての自己都合退職者の給付制限が1ヶ月になるわけではありません。
注意点として、いくつかの例外ケースが存在します。
具体的には、過去5年間に3回以上自己都合退職を繰り返している場合、給付制限は2ヶ月のままとなる可能性があります。
さらに、自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された(重責解雇)場合は、給付制限が3ヶ月となる場合があります。
これらの例外規定は、制度の安易な利用を防ぐための措置です。
諦めないで!「特定理由離職者」なら自己都合でも有利な条件に
自己都合退職であっても、離職理由がやむを得ないものであるとハローワークに認められた場合、「特定理由離職者」として認定されることがあります。
この制度に該当すると、給付制限期間が免除され、会社都合退職の場合と同様に7日間の待期期間後すぐに失業保険を受給できます。
また、被保険者期間によっては給付日数が延長されるなど、経済的な支援が手厚くなります。
自身の状況が「正当な理由のある自己都合退職」に当てはまるかを確認することが重要です。
特定理由離職者とは?会社都合退職とほぼ同等の扱いを受けられる制度
特定理由離職者とは、自己都合退職者の中でも、離職の理由に正当性があると認められた人を指す制度です。
具体的には、病気やケガ、家族の介護、結婚に伴う転居で通勤が困難になったなど、やむを得ない事情で離職した人が対象となります。
この認定を受けると、失業保険の給付制限がなくなるため、会社都合退職とほぼ同等の扱いで迅速に給付を受け始めることができます。
これにより、経済的な不安を抱えずに再就職活動に専念しやすくなります。
【事例別】特定理由離職者として認定される6つのケース
特定理由離職者として認定される具体的なケースには、以下のような例があります。
病気や心身の障害により、職務を遂行することが困難になった場合
妊娠、出産、育児を理由に離職し、受給期間の延長措置を受けた場合
父、母、または親族の介護のために離職せざるを得なかった場合
結婚や配偶者の転勤に伴う住所変更で、通勤が不可能または困難になった場合
人員整理などを目的とした希望退職者の募集に応じて離職した場合
有期雇用の派遣社員などが、契約期間満了後に更新を希望したにもかかわらず、更新されずに離職した場合(雇止め)
ハローワークでの認定に必要な証拠と手続きの進め方
特定理由離職者の認定を受けるためには、ハローワークで失業保険の受給手続きを行う際に、離職理由が正当であることを客観的に証明する資料を提出する必要があります。
例えば、病気が理由であれば医師の診断書、家族の介護であれば介護が必要なことを示す書類、通勤困難であれば転居前後の住所がわかる住民票などが証拠となります。
まずは最寄りのハローワークの窓口に相談し、自身の状況を説明した上で、必要な書類や手続きの進め方について具体的なアドバイスを受けることが重要です。
損せず円満に退職するための5ステップと手続きの流れ
自己都合で退職する場合、会社との関係を良好に保ちながら円満に手続きを進めることが、スムーズな転職活動やその後のキャリアにとって重要です。
感情的なしこりを残さず、かつ法的な手続きや必要書類の受け取りを確実に行うためには、計画的な流れに沿って行動することが求められます。
ここでは、退職の意思表示から退職後の手続きまでを5つのステップに分けて、具体的な進め方を解説します。
ステップ1:直属の上司に退職の意思を口頭で伝える
退職を決意したら、まずは直属の上司に口頭で退職の意思を伝えるのが最初のステップです。
タイミングとしては、会社の就業規則で定められた期間を確認し、それに従うのが円満退職の基本です。
法律上は最短で退職日の2週間前の申し出で契約解除が可能ですが、業務の引き継ぎなどを考慮すると、余裕を持った通知が望ましいです。
アポイントを取り、会議室など他の人に聞かれない場所で直接伝えるのがマナーです。
ステップ2:「一身上の都合により」と記載した退職届を提出する
上司との話し合いで退職日が正式に決まったら、会社の規定に従って「退職届」を提出します。
自己都合退職の場合、退職理由には具体的なことを書く必要はなく、「一身上の都合により」と記載するのが一般的です。
退職届に記載する日付は、提出日と退職日の両方を正確に書く必要があります。
書式や提出先については、会社のルールを確認しましょう。
民法では退職の意思表示から2週間で雇用契約は終了しますが、会社の規定に従う方がトラブルを避けられます。
ステップ3:後任者への業務引き継ぎを計画的に行う
退職日までの期間は、後任者や関係者への業務引き継ぎを責任もって行うことが社会人としてのマナーです。
引き継ぎリストやスケジュールを作成し、誰が見ても業務内容がわかるように資料を整理しましょう。
この期間に、残っている有給休暇を計画的に消化することも大切です。
最終出社日には、お世話になった部署や関係者への挨拶を忘れずに行い、良好な関係を保ったまま退職することが、次の仕事にも繋がる円満な退職の秘訣です。
ステップ4:会社から受け取る必須書類を確認する(離職票・源泉徴収票など)
退職日、または退職後すみやかに会社から重要な書類を受け取る必要があります。
特に、失業保険の申請に不可欠な「離職票」と、転職先での年末調整や自身での確定申告に必要な「源泉徴収票」は必ず受け取りましょう。
その他、「雇用保険被保険者証」や「年金手帳」なども返却されます。
離職票を受け取ったら、記載されている離職理由や賃金額などの内容に間違いがないかを必ず確認してください。
もし内容に相違があれば、速やかに会社に訂正を求めることが重要です。
ステップ5:退職後に必要な社会保険や税金の手続きを進める
退職すると、会社の健康保険や厚生年金の資格を失います。
転職先が決まっていない場合は、速やかに市区町村の役所で国民健康保険と国民年金への切り替え手続きが必要です。
健康保険については、退職した会社の健康保険を最長2年間継続できる「任意継続」制度や、家族の扶養に入るという選択肢もあります。
それぞれの保険料を比較し、自身にとって最適な方法を選びましょう。
また、退職時に受け取った保険証は速やかに会社へ返却します。
自己都合退職に関するよくある質問
自己都合退職を考え始めると、手続きや退職後の影響について様々な疑問が生じます。
ここでは、退職を促された場合の対処法や、転職活動への影響、ボーナスの受け取りなど、多くの方が気になる質問について解説します。
適切な知識を持つことで、不利な状況を避け、安心して次のステップに進むことができます。
会社から「自己都合で辞めてほしい」と頼まれたらどうすればいい?
安易に同意してはいけません。
本来は会社都合に該当する解雇や退職勧奨であるにもかかわらず、会社が自己都合での退職を促すことがあります。
これに応じると失業保険の給付で不利益を被るため、まずは退職を依頼された理由を明確に確認しましょう。
納得できない場合はその場で署名や捺印をせず、労働基準監督署や弁護士などの専門家に相談することを検討してください。
自己都合退職の経歴は転職活動で不利になりますか?
一概に不利になるとは限りません。
面接で退職理由を尋ねられた際に、キャリアアップやスキル習得といった前向きで一貫性のある説明ができれば、マイナスの印象を与えることはないでしょう。
ただし、短期間での自己都合退職を繰り返している場合は、忍耐力や適応力を懸念される可能性があります。
そのため、なぜ辞めたのか、そして次の会社でどう貢献したいのかを明確に伝えることが再就職を成功させる鍵です。
ボーナス支給日の直前に自己都合退職をしても満額もらえますか?
会社の就業規則や賃金規程によります。
多くの企業では、ボーナスの支給条件として「支給日に在籍していること」を定めています。
この場合、支給日よりも前に退職してしまうと、査定期間中に勤務していたとしても、ボーナスが満額もらえなかったり、全く支給されなかったりする可能性があります。
後悔しないためにも、退職を申し出る前に必ず自社の規定を確認することが重要です。
まとめ
自己都合退職は、会社都合退職と比較して失業保険の受給開始時期や給付日数で不利になる側面があります。
しかし、2025年4月の法改正により給付制限が1ヶ月に短縮されるなど、労働者にとって有利な変更も行われます。
また、病気や介護といったやむを得ない理由がある場合は「特定理由離職者」として認定され、会社都合退職とほぼ同等の手厚い手当を受けられる可能性があります。
円満退職のための手続きを正しく理解し、利用できる制度を最大限活用することが、スムーズなキャリアチェンジに繋がります。

この記事を書いた人
BE GOOD編集部(監修:株式会社bサーチ 代表取締役社長 高田 嘉範)
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本記事は、株式会社bサーチ代表取締役社長・高田嘉範の監修のもと、採用支援の現場で蓄積された実績・データ・知見をもとに構成しています。Indeedをはじめとした求人媒体運用や採用支援を通じて得たリアルな情報をもとに、実務に活かせる内容をわかりやすく解説しています。
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