サラリーマンの平均年収はいくら？日本の年代別・男女別の金額や中央値を解説

最新の公的データによると、日本のサラリーマンの平均年収は458万円という金額が示されています。
この数値はあくまで全体の平均であり、実際の給与は年代、性別、業種など様々な要因で異なるため、自身の状況と照らし合わせて詳細なデータを確認することが重要です。

この記事では、公的な調査結果を基に、サラリーマンの平均年収の推移や属性別の金額を詳しく解説するとともに、収入を増やすための具体的な方法も紹介します。

日本のサラリーマンの平均年収は458万円！中央値もあわせて解説

国税庁が2023年に発表した調査によれば、日本の給与所得者の平均年収は458万円です。
この値は、正社員だけでなく非正規雇用者も含む全体の平均的な金額を示しています。
一方で、より実態に近い数値とされる年収の中央値は、平均年収よりも低い値になるのが一般的です。

1990年代をピークに日本の平均年収の推移は停滞気味でしたが、2024年に向けて賃上げの動きも出ています。
1960年代や1980年代の経済成長期と比較すると、現代の課題が見えてきます。
一般的なサラリーマンの収入状況を正確に把握するには、平均値と中央値の両方を理解することが必要です。

【年代別】サラリーマンの平均年収を比較

サラリーマンの年収は、年代別に見ると大きく異なります。
一般的に、経験やスキルが積み重なるにつれて年収は上昇傾向にあり、キャリアの段階ごとに収入水準は変化します。

20代の若手社員から、管理職なども増える50代まで、各年代で平均年収がどのように推移するのかを把握することは、自身のキャリアプランを考える上で重要な指標となります。
ここでは、具体的な年代別のデータを用いて、それぞれのライフステージにおける平均的な収入額を比較・解説します。

20代サラリーマンの平均年収

20代サラリーマンの平均年収は、社会人としてのキャリアが始まったばかりであるため、他の年代と比較すると低い水準にあります。
全体の平均は約352万円ですが、20代前半と20代後半では差が見られます。
大学卒業後の初任給からスタートし、徐々に業務経験を積むことで給与は上昇していきます。

特に、社会人経験を重ねてスキルが身につき始める20代後半になると、昇給や昇進の機会も増え、収入が伸びる傾向です。
例えば29歳時点では、同期との間でスキルや役職による収入差が生まれ始めていることも少なくありません。
この時期は、将来のキャリア形成の土台を築く重要な期間であり、専門性を高めることが将来的な年収アップの第一歩となります。

30代サラリーマンの平均年収

30代は、キャリアにおいて責任ある立場を任される機会が増え、年収が大きく伸びる時期です。平均年収は約447万円と、20代から大幅に上昇します。
30代前半（30歳～34歳）の平均は約425万円ですが、経験と実績が評価され始める30代後半（35歳～39歳）には約462万円へと増加します。
具体的に見ると、32歳頃から役職に就く人が増え始め、35歳前後でキャリアアップを目指し転職するケースも少なくありません。
39歳にもなると、管理職として部下を持つ立場になる人も現れ、同年代の中でも年収の差が広がり始めます。
結婚や出産といったライフイベントが増える年代でもあるため、キャリアプランと生活設計を合わせて考えることが求められます。

40代サラリーマンの平均年収

40代のサラリーマンは、専門知識や管理能力が評価され、キャリアの成熟期を迎える年代です。
平均年収は約521万円に達し、多くの人が組織の中核を担う存在となります。
40代前半（40歳～44歳）では平均約491万円ですが、より重要な役職を任されることも多い40代後半（45歳～49歳）では平均約540万円と、さらに収入が増加する傾向です。

44歳や49歳といった年齢では、部長職などのより高い役職に就く人も増え、それに伴い給与水準も大きく上がります。
一方で、これまでのキャリアで培ったスキルや役職によって年収の個人差が最も顕著になるのもこの年代の特徴です。
専門性をさらに高めるか、マネジメント能力を磨くかが今後の収入を左右します。

50代サラリーマンの平均年収

50代は、サラリーマンとしてのキャリアで年収がピークに達する年代です。平均年収は約537万円となり、長年の経験と実績が最も評価される時期といえます。詳細を見ると、50代前半（50歳～54歳）の平均は約544万円、50代後半（55歳～59歳）では約529万円と、後半になるとやや下降する傾向です。

これは、55歳頃から役職定年を迎える企業があるためです。しかし、専門職や経営層に近い役職に就いている場合は、59歳まで高い収入を維持することが可能です。60歳以降は定年後の再雇用などで給与体系が変わり、一般的に年収は大きく減少するため、退職後の生活設計を具体的に考える必要があります。

【男女別】サラリーマンの平均年収の違い

サラリーマンの平均年収は、性別によっても大きな差が見られます。
全体で見ると男の平均年収が女性を上回る傾向にあり、この差は年代が上がるにつれて拡大していきます。

例えば、キャリア形成期である30代男性の平均年収と、出産育児などを経てキャリアに復帰するケースもある40代女性の収入を比較すると、働き方や勤続年数の違いなどが影響していることが考えられます。
同じく40代男性と比較した場合でもその差は明らかであり、管理職に就く割合の違いなどが要因として挙げられます。

【学歴別】最終学歴から見るサラリーマンの平均年収

最終学歴は、サラリーマンの生涯年収に影響を与える重要な要素の一つです。
一般的に、高卒よりも大卒、さらに大学院卒の方が初任給やその後の昇給率が高い傾向にあります。
特に専門知識が求められる職種では、学歴がキャリアパスや任される業務の範囲を左右し、結果として年収に差が生まれることが多いです。

ここでは、高卒と大卒を中心に、学歴による平均年収の違いについて具体的なデータをもとに解説します。

【企業規模別】会社の大きさで変わるサラリーマンの平均年収

勤務先の企業規模も、サラリーマンの年収を大きく左右する要因です。
一般的に、従業員数が多い大手企業は、中小企業に比べて平均年収が高い傾向があります。
これは、大手企業の方が福利厚生が充実しており、給与テーブルや賞与の基準が高く設定されていることが多いためです。

また、地方の企業と都市部の企業とでは、地域間の経済格差が年収に反映されることもあります。
会社の規模によってどれほどの年収差が生じるのか、具体的なデータを見ていきます。

【業種別】年収が高い業界ランキング

どの業種で働くかによって、サラリーマンの平均年収は大きく異なります。
年収700万や800万を超える高収入を得やすい業界もあれば、平均を下回る業界も存在します。
こうした業界ごとの年収差は、個人の生涯にわたる収入だけでなく、世帯収入にも影響を与えます。

高い専門性や特定のスキルが求められる業界ほど、給与水準が高い傾向です。
ここでは、国税庁の調査結果を基に、年収が高い業種をランキング形式で紹介し、その背景についても解説します。

現状の年収に不満がある方へ！サラリーマンが収入を増やす5つの方法

現在の年収が自身の働きに見合っていない、あるいは「おかしい」と感じたり、理想の生活水準に届いていないと不満を抱えている方もいるかもしれません。
しかし、サラリーマンが収入を増やすための方法は一つではありません。
明確な目標を設定し、自身の状況に合ったアプローチを選択することが重要です。

ここでは、現状を打破し、収入を増やすための具体的な5つの方法を紹介します。
それぞれの方法のメリット・デメリットを理解し、行動に移すための参考にしてください。

今の会社で昇進・昇給を狙う

現在の勤務先で収入を増やす最も確実な方法は、昇進・昇給を目指すことです。
会社の評価制度を正確に理解し、どのような成果を上げれば評価につながるのかを把握することが第一歩となります。
具体的には、与えられた業務で高い成果を出すことはもちろん、チームへの貢献や後輩の育成など、役職者に求められるスキルを意識して行動することが求められます。

昇進すれば役職手当がつき、昇給すれば基本給が上がるため、賞与や残業代の算定基礎額も増加し、結果的に年収が大きく向上します。
上司との定期的な面談の機会を活用し、自身のキャリアプランや目標を共有することも有効です。

収入アップにつながる資格を取得する

専門性を高め、自身の市場価値を向上させるために資格を取得することは、収入アップに直結する有効な手段です。
企業によっては、特定の資格を取得することで資格手当が支給されたり、昇進の条件となっている場合があります。

また、難易度の高い専門的な資格は、転職市場においても有利に働き、より良い条件の企業へ移るきっかけにもなり得ます。
例えば、IT系の高度な資格や、不動産業界における宅地建物取引士、経理・財務分野の簿記1級などが挙げられます。
2025年以降のキャリアプランを見据え、自身の業務に関連する資格や、今後需要が高まると予想される分野の資格取得を検討することで、着実なスキルアップと収入増を目指すことが可能です。

空いた時間で副業を始める

勤務先の就業規則で認められている場合、空いた時間を利用して副業を始めることも収入を増やす直接的な方法です。
近年では、働き方の多様化に伴い、副業を解禁する企業が増加しています。
Webライティングやプログラミング、デザインといったスキルを活かせる仕事は、場所を選ばずに取り組めるため人気があります。

また、東京や大阪、福岡などの都市部では、多様な単発の仕事や週末だけ働けるアルバイトの機会も見つけやすいです。
副業を通じて本業とは異なるスキルや人脈を得ることもでき、それが将来的なキャリアの選択肢を広げる可能性もあります。
ただし、本業に支障が出ないよう、時間管理と体調管理を徹底することが求められます。

NISAやiDeCoで資産運用に挑戦する

給与収入を直接増やす方法ではありませんが、資産運用によって手元の資金を増やすことも、実質的な収入増につながります。
特に、NISA（少額投資非課税制度）やiDeCo（個人型確定拠出年金）は、税制上の優遇措置を受けながら資産形成ができるため、初心者でも始めやすい制度です。

NISAは運用益が非課税になる制度であり、iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため、年末調整や確定申告で所得税・住民税の負担を軽減できるメリットがあります。
iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、私的年金として老後資金の準備にも役立ちます。
毎月少額からでも積立投資を始めることで、長期的な視点で資産を育てることが可能です。

より良い条件の会社へ転職する

現在の会社での昇給が見込めない場合や、業界全体の給与水準が低い場合には、より良い条件を提示してくれる会社へ転職することが最も効果的な収入アップの方法となり得ます。
自身のスキルや経験を高く評価してくれる企業を見つけることが重要です。
年収水準は地域によっても異なり、県別に見ると、愛知県や大阪府などの大都市圏は給与が高い傾向にあります。
一方で、広島や札幌、熊本、沖縄、茨城県など地方都市でも、特定のスキルを持つ人材を高い給与で募集している企業は存在します。

転職エージェントなどを活用し、自身の市場価値を客観的に把握した上で、給与だけでなく、働き方やキャリアパスも含めて総合的に判断することが求められます。

サラリーマンの平均年収に関するよくある質問

サラリーマンの平均年収について調べていると、様々な疑問が浮かぶことがあります。
例えば、「平均値と中央値はどう違うのか」「年収から実際に受け取れる手取り額はどう計算するのか」といった基本的な事柄です。
また、多くの人が目標とする高収入の実態について知りたいという需要もあります。

ここでは、そうした平均年収に関するよくある質問を取り上げ、それぞれ簡潔に回答します。
正しい知識を持つのは、自身の収入についてより深く理解するために役立ちます。

年収の中央値とは何ですか？平均値との違いは？

年収における平均値と中央値は、どちらも全体の傾向を示す指標ですが、意味合いが異なります。
平均値は、全員の年収を合計し、その合計額を人数で割って算出される数値です。
一方、中央値は、調査対象となる全員の年収を低い順に並べたときに、ちょうど真ん中に位置する人の年収を指します。

平均値は、一部の極端に高い年収の人に大きく引き上げられる傾向があるため、一般的な実感とは乖離することがあります。
これに対し、中央値は極端な値の影響を受けにくく、より実態に近い「標準的」な年収水準を示す指標として用いられます。
したがって、自身の年収を比較する際は、平均値と中央値の両方を確認することが望ましいです。

年収から手取り額を計算する方法は？

年収とは、税金や社会保険料が引かれる前の総支給額のことを指します。
実際に銀行口座に振り込まれる金額は「手取り額」と呼ばれ、年収とは異なります。
手取り額を計算するには、年収から所得税、住民税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などを差し引く必要があります。

一般的な目安として、手取り額は年収のおおよそ75%～85%程度になると言われています。
例えば、年収400万円の場合、手取り額は300万円から340万円程度が目安となります。
ただし、扶養家族の有無や各種控除によって金額は変動するため、正確な手取り額は給与明細で確認することが必要です。

年収1,000万円を超えるサラリーマンの割合はどのくらい？

年収1,000万円は、多くのサラリーマンにとって一つの目標となる金額ですが、実際にこの水準に達している人は限られています。
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、年収1,000万円を超える給与所得者の割合は、全体のわずか5.4%です。

この割合は、男女別で見るとさらに差があり、男性が8.4%であるのに対し、女性は1.5%にとどまります。
このデータからも分かるように、日本のサラリーマンの中で年収1,000万円を超えるのは、ごく一部であることがわかります。
業種別では、金融・保険業や情報通信業、専門・技術サービス業などで割合が高い傾向にあります。

まとめ

日本のサラリーマンの平均年収は458万円ですが、この数値は年代、性別、学歴、業種、企業規模など様々な要因によって変動します。
自身の年収が平均と比べてどの位置にあるのかを正しく把握するためには、全体の平均値だけでなく、自分と同じ属性のデータや、より実態に近い中央値を確認することが重要です。

もし現状の収入に満足していないのであれば、現在の会社で昇進を目指したり、専門性を高める資格を取得したりするなど、具体的な行動を起こすことが求められます。
副業や資産運用、あるいは転職といった選択肢も視野に入れ、自身のキャリアプランやライフプランに合った方法で、収入アップを目指すことが可能です。